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瀬戸の月

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ゆっくりと近づく台風の影響で、今年は中秋の名月(9月14日)の月は
うすらぼんやりしたものだった。
『朧月(おぼろづき)だな』と思ったんだけど、何かが引っかかった。
高校時代に、それについて何か言われた記憶がある。
そこで調べてみたところ、『朧月』は、春の季語だということ。
ぼんやり見える月のことを『朧月』と呼ぶのは間違いではないけど
由緒正しく使うならば、春のぼんやりした月に使うものらしい。
「だから何だ?」と噛み付くのは僕の悪い癖で、そう思った高校時代のことが
どこか頭の中に残っていたみたい。

ついで、中秋の名月について調べてみた。
旧暦の8月15日に見られる月のことというのは僕でも知っていた。
ところが、こんな俳句に出会ってしまう。

名月はふたつ過ぎても瀬田の月 (松尾芭蕉)

これは、「今年は中秋の名月を2回見たんだけど、瀬戸の月のなかなかどうして素晴らしいもんだ」という意味。
2回???

調べてみた。

旧暦というのは、1年が354日しかないらしい。
365日(4年に一度は366日)の新暦と比べると、11日も少ない。
3年で33日・・・つまり、約1ヶ月分足りなくなる。
そこで、3年に1度(正確には19年に7度)、『閏月(うるうづき、じゅんげつ)』というものを差し込んで
暦の調整をしていたとのこと。
芭蕉がこの句を詠んだ年は、この調整年であり、調整月が8月だったため
2回も8月15日があったというわけだ。
そこで、きっちり月見も2回行ったんだろうね。

この句を知って、もしやと思い、以前撮った写真のデータを探してみた。
ずばりでした。
東京に行く用事があり、かつ時間に余裕があれば必ず立ち寄るギャラリーが西荻窪にある。
そこで購入した古瀬戸の水差し。
取っ手部分が取れているため、室町時代の古いものだけど格安で置いてあった。
万年金欠の僕には、本に掲載されるような所謂“骨董品”と呼ばれる高価なものは買えない。
これは、こんな僕でも買えるやさしい値段がついていたから購入できた。
花器として使うことを想像しながら、わくわくして持ち帰ったのを覚えている。
なんとなく、月肌に見えませんか?
さらに古瀬戸・・・つまり、瀬戸の月というわけです。

ビンゴの気分で寝ます。
おやすみなさい。
by chouukyo | 2008-09-18 23:24 | 日々