黒田泰蔵×木寺一路

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夜遅くに木寺さんと共に、聴雨居に入った。
ある方にお借りした黒田泰蔵さんの花器を撮影するために。
僕は、黒田さんの作り出す妖艶な力強さを撮ってほしいと思っていたが
それを敢えて言うことなく、すべてを木寺さんにお任せすることにした。
聴雨居に到着した木寺さんが、まず口にしたのは
「川の流れる音がいいですね」
ということだった。
梅雨らしい天気が続いていることからか、聴雨居の横を流れる小さな川が
いつになく大きな音を立てていた。
僕は、撮影時に流すと決めていたレコードをターンテーブルにのせることをやめた。
準備運動のように、いくつかのカットを撮り始める。
「うん、決まった」
そう言った木寺さんは、ポケットの中から小さなライトを取り出した。
「部屋中の照明を落としてください」
確信めいた予感とともに、僕はすべてのスイッチをオフにする。
真っ暗闇の中、川を流れる水の音とロングシャッターの落ちる音が
そこにいる者すべてが息を止める中、響き続けた。
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by chouukyo | 2009-07-13 01:00 | 日々